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たそりんご

子どもが入院!!病棟ってどんなところ?その3 〜病棟ってどんなところ?〜

育児

2017
5/4

[記事公開日] 2017/05/04
[最終更新日] 2018/12/13

大きな総合病院って、外来には何度か来たことがある人も多いはず。
特に子どもを産んだのが総合病院の産婦人科だと、一ヶ月健診まではお世話になることもあるね。
でもその後しばらくは大きな病院には縁がなく、急に入院となると戸惑うね。
家族や親戚・友達の入院のお見舞いすら行くことがなければ、病棟の作りやシステムすら全く分からないのも無理ない。
そこで今回は、入院生活の舞台となる “ 病棟 “ とは一体何なのか、設備やシステムなどを紹介をするよ。

病棟って何があるの?

病棟とは、患者が入院して治療や療養を24時間体制で行う場所のこと。

大部屋

一般的に入院する病室は、4〜5人が上限の多床室がメインだ。
(時々大人の事情で6人部屋の場合もあるけど)
大部屋の場合は、“ 医療法 “ という法律で一人あたりの病室の床面積は6.4㎡以上と定められているため、ある一定の広さは全国どの施設でも確保されているよ。
隣の患者との仕切りは大抵カーテンで、もちろん物音や会話・夜中のいびきなどは筒抜けである。
大部屋は、特別な部屋料金などは発生せず無料だよ。
小児の場合は付き添い申請用紙を記入して、同じ病室に保護者も一緒に寝泊まりすることができる。
ちなみに大人や高齢者の場合は、基本的には大部屋では付き添いすることができない。

大人の大部屋は “ 女部屋 “ “ 男部屋 “ といって性別を統一しているが、小児科の大部屋は大抵は男女混合だ。
そして感染症疑い(インフルエンザやノロなど)の患者は院内感染の原因となってしまうため、感染の危険がなくなる基準に達するまでは個室管理となり大部屋には入院できない。

個室

個室は文字通り、人部屋につき一人しか入院できない。
専門的な機械で医療管理しなければいけない場合や、先程述べたように感染症の(疑いの段階でも)患者は個室に入院となる。
もちろん大部屋は嫌だ!他の人の干渉を受けたくないんだ!という人は、個室の空きがあれば希望して入院することもできる。
ただし、個室は料金が発生する。病院によってピンキリだが、約5〜6千円が毎日かかる。
もちろん自費なので、全額自己負担だよ。
例外もあって、医師の指示ややむを得ない理由などの条件が揃えば、個室料金が免除されるというシステムもある。
滅多にないけどね。

個室にはトイレと洗面台もついていて、特別室クラスになるとシャワーがついている場合もある。
ソファーベッドがあって、付き添いの家族がそこで眠ることもできる設備もあり、なくても簡易ベッドを貸し出してくれるはずだ。
個室の病床面積は6.3㎡以上と定められている。大部屋より若干狭くてもいいみたいだけど、ほとんどの病院は個室のほうが広いところが多い。

どんな設備があるの?

しばらく療養生活を送る、病棟という特殊な環境。
どんな設備があるのか紹介しよう。

スタッフステーション(ナースステーション・詰め所)

患者のホームが病室なら、スタッフのホームはご存知、スタッフステーション。
ナースステーションともいうね。
全ての病室にはナースコールがついていて、どこかの病床でボタンが押されるとNsステーションにつながる。
さらにNsステーションだけでなく、看護師が持っているPHSのような子機にもナースコールはつながっていて、3人前後の看護師がナースコールを持ちあるき、Nsステーション以外の場所でも会話することができる。
スタッフステーションには電子カルテ用のパソコンや、点滴を準備する台、心電図の波形をチェックするセントラルモニター、診療材料や薬剤などが鍵付きで保管されている棚(通称 “ ユニ棚 “ )、同意書などをスキャンした原本を保管している紙媒体用のサブカルテなどがある。

医療用PHS

ちなみに看護師は、パッと見同じような電話を持ち歩いてるが、機能が全然違うものが2種類存在する。
ひとつは先程のナースコールだ。ナースコールは病棟(や階)を離れると電波をキャッチせず、どんだけナースコールが鳴っても着信しない。
もう1つは内線番号が割り振られている本物のPHSで、師長や主任クラスであったり、夜勤のリーダーが固定番号を持っている。もちろん直接外線番号につなぐこともできるので、患者の家にかけることも可能だ。
ナースコールもPHSも同じような “ 医療用 “ などと描かれているネックストラップで吊っているため、患者は違いが分からないだろう。

デイルーム

デイルームとは、患者やその他の人が病室以外でゆっくり過ごすための広場だ。
面会に来てくれた人と過ごしたり、テレビや雑誌が置かれてたりと、一人でも大勢でも息抜きができるような場所だよ。
病室では息が詰まるときは、気分転換に出てみてもいいかもね。

プレイルーム

子ども版のデイルームといったところで、おもちゃや絵本が置かれている広場だ。
ちょっと元気になったり、人に感染のリスクがなくなった場合に医師の許可がおりると、遊びに出ることができる。
病院によって規模やおもちゃの数などに差はあるかもしれないが、病室で缶詰状態よりは随分マシだ。
絵本やビデオなどの視聴覚系のおもちゃもある病院も多いだろう。

他の病室の患児や保護者との交流の場でもあり、育児や入院している病気の情報交換などをすることもあり、親同士の気晴らしの場ともなる。
どれだけ他の患児と関わるかは、保護者や子どものキャラにも寄るが、暇さえあればプレイルームに遊びに出ている子であれば自然と挨拶を交わすようになり、患児も一緒に遊ぶ貴重な相手となり性別問わず仲良くなっていくことが多い。

季節のイベント・レクレーションを開催してくれることも

クリスマスにはクリスマス会をしたり、イベントやレクレーションに力を入れている病院もあるだろう。
普段家で過ごすであろうイベントが、入院したことにより楽しめなくなる。
運が悪いというか仕方がないとしか言いようがないんだけど、年に一度のお楽しみであるクリスマスなどは、せめてイベントが少しでもあれば救いになるね。
リンゴが入院した時期は、クリスマスが近くだったから、病棟の看護師が計画したクリスマス会に参加したよ。
サンタさんの服を着てヒゲをつけたスタッフ(not ギャルサンタ、残念ながらおじいさんの方のサンタ)と一緒にポラロイド写真を撮って、受け持ち看護師が前日に書いてくれたメッセージカードに貼り付けてプレゼントしてくれた。
そしてプレイルームまで動ける(自立・介助で車椅子や歩行可能な)患者や、子ども・保護者などが集まって、看護師複数名によるハンドベル演奏を聴いたり、マジックショーをしてくれた。
リンゴも喜んでいたし、同じような毎日の入院生活で素敵な刺激になったよ。

トイレ

大部屋の場合は共用のトイレが、各病棟のなかで部屋と部屋の間にバランス良く配置されていることが多い。
個室にはそれぞれ一部屋ずつ入っていて、排泄物で感染するノロなどの感染症の場合は、自室のトイレ以外使わないように指導されることもある。(もちろん一回ずつ消毒を保護者が行わなければならないことも。)
また車椅子で入れるほどの大きな “ 身障者用トイレ(ハンディキャップトイレ) “ も、各病棟に1つはあるはず。
トイレの中にオムツ捨て場があることもあるので、便を捨てる時はトイレ内に匂いが充満しないよう拝領する必要がある。
塊はトイレに流しオムツはビニール袋に入れて所定の場所に入れるなどしよう。

シャワー室

入浴・シャワー浴許可がおりると、決まった曜日・決まった時間にシャワー浴をすることができる。
点滴の留置針を入れたままの人は、看護師に刺入部を防水処置してもらい、親が介助して子どもをお風呂に入れることになる。
付き添いの保護者は基本的には入浴不可。
時間がかかって他の患者が入れなくなるため。家族の誰かと付き添いを交代して自分の家で入ろう。

給湯室

簡単な流し台があり、その他にはオーブントースターや電子レンジが置いてあることが多い。
付き添いしている家族が売店などで食べ物を買ってきたり、家からもってきたものを温めるために使用することもできる。
もちろ患児自体の病院食で、配膳してすぐ食べられない(お昼寝中だった・検査や手術で延食だったなどの)場合に、もう一度温め直して食べることもできるよ。
そして朝食でパンが出てきたときに、トースターで焼いて食べると家のトーストに近づけることができるかもね。

洗濯室

家になかなか帰れなくて、着替えを洗濯したいという状況に陥るときもあるかもしてれない。
そんなときには洗濯したいよね。
病院には大抵病棟内もしくは別の場所に洗濯機・乾燥機が置いてあることが多い。
そしてその洗濯機を使う場合は、 “ テレビカード “ というものを購入しなければいけないことがほとんどだ。

魔法の万能カード、テレビカード

テレビカードというのは、名前の通りテレビを見るときに利用するカードだ。
テレホンカードのような外観をしていて、自動販売機で一枚1,000円で売っている。
病室内でテレビを利用するのが有料なとき、そのテレビカードを入れると○分ごとに○度数(一時間△△円)が減っていくというかたちで、先に購入していた残高を使っていくというもの。
テレビカードはテレビ以外にも、有料コンセントや冷蔵庫などを使うために使用することもできるし、洗濯機・乾燥機を使用するときにも必要な場合がある。
余ったテレビカードの残高は、また専用の自販機のようなものにカードを入れると、使わなかった度数分の残りのお金が返ってくる。

主にどんな職種の人がいるの?

病棟には様々な職種のスタッフがいる。常駐しているスタッフは、看護師・看護助手・医療事務員がメインだ。

看護師

主な医療従事者はほとんどが看護師で構成されていて、病棟の管理責任者も看護師だ。
看護師長・看護課長など、病院によって呼び方はいろいろ。
検温や血圧測定、点滴の管理、処置、服薬確認、配膳などなど…日中会うのはほとんどが看護師だろう。
平日の日勤帯はある一定の人数がいるが、夜勤帯に入ると3〜4人に減ってしまう。
少ない人数で対応しているため、重症度・優先順位が高い患者の元に行ってしまうとなかなか来てもらえなかったり、ナースコールの対応が遅かったりすることも…
また休日は処置や検査・手術などのイベントが基本的には少ないため、日勤帯でも看護師は少なく配置されている。

看護助手

看護師の補助業務を行い、看護備品の清掃や補充をしたり、配膳や患者搬送やシーツ交換などのお手伝い・検体や薬品や診療材料の輸送など、業務は多岐にわたる。
看護師免許がなくてもできる雑務だけど、これを全部看護師たちだけでやっていたら全くまわらないので、看護助手の存在は非常に重要だ。

医療事務員

他部署との連絡をしたり、事務書類を扱う職種。手続き関係のことは医療事務員にお任せ!
医療費のことや院内の案内などにも精通している。
平日の日勤帯にのみ常駐していることが多く、土日祝日や夜間にはいない。(救急受付は除く)

時々現れる職種

病棟には配置されていないが、よその部署から上がってきて時々お目にかかる職種を紹介しよう。

医師

よく勘違いされがちなのが、医師の所在だ。主治医は日中の殆どは病棟にいることはない。
それもそのはず、医師の所属は “ 医局 “ というところで、そこから病院中のありとあらゆる部署に出向いて診察や処置・検査などを行う。
その行き先の中の1つが病棟なのだ。
そして外来がある曜日は、ほぼ一日中外来の診察室に篭っているので、その合間に病棟に顔をだして受け持ち患者のチェックや指示出し・治療・カルテ記載などを行ったり、病状が安定してきたら、外来が始まる前後のみになることも。
朝イチに一通りの患者のチェックをするとまたすぐ病棟を出発し、必要時にまた顔を出す。病棟看護師とは、殆どが電話連絡で済ますことが多い。
また学会や院外への出張などもあり、主治医がいない場合は他の小児科医と情報共有をしていて、代診してくれることもある。
休日なんかの当直や宅直も、その当番の医師が代診してくれるのでご安心を。

薬剤師

院内の “ 薬局 “ や “ 薬剤部 “ という部署に所属していて、薬剤師も必要時に病棟に出向く。
処方された薬のことで詳しく聞きたいことがあったり、退院時に渡される退院処方の説明などは薬剤師が行う。
特殊な薬を使用する際にも、作用・副作用・日常生活での注意点・飲み合わせの禁忌などを詳しく説明してくれるよ。

管理栄養士

管理栄養士といえば、パッと思い浮かべるのが病院食に関わることだろう。
もちろんその通りで、治療食の献立や管理などを手がけている。
一度も入院中に顔を合わせることもなく終わることが多いが、慢性疾患(糖尿病や心臓病など)で食事療法が必要な場合は、保護者や患児向けに指導を行うことがある。
入院中は食事が全て管理されているが、退院したら親がご飯のことをするので、食事療法をすすめていくにあたり分からないことがたくさんあるだろう。
そんな時は管理栄養士が、詳しく説明してくれるよ。
薬剤師と同様、薬の飲み合わせで食べてはいけないものなども教えてくれるし、医師に○○を摂りなさいと言われてもどんな料理を作ればいいのか・食材を選んだらいいのか分からないこともあるだろう。
そんな時は、看護師経由で管理栄養士に問い合わせてもらうのも手なので、有効に活用しよう。
パンフレットをくれたり、相談に乗ってくれるはずだよ。

理学療法士・作業療法士

骨折の手術のあとなどは、理学療法士・作業療法士などによるリハビリテーションが手術翌日より開始される。
早期離床が治療の基本なので、医師の指示のもと常生活動作の訓練を行っていく。
リハビリテーション室から彼らが出向くこともあれば、家族と一緒にリハビリ室に下りてきてと、看護師や医療事務員経由で呼び出されることもある。
足の骨折の場合は、術後からトイレへの移動の練習であったり歩行訓練であったり、日常生活動作の範囲内からスタートすることも。
また松葉杖が必要な場合は、使い方や荷重のかけ方(体重をどれだけ乗せていいか)などもリハビリ室で練習することもあるよ。
手の骨折の場合は、作業療法士が介入することもある。利き手の骨折である場合は、お箸やペンを持つのが難しかったり、三角巾を吊って動きが制限されることもある。
そんな時には作業療法士が、細かい作業の日常生活動作の訓練を行ってくれることもある。
手術したところであっても、指先などは積極的に動かさなくちゃ、健康な他の部位まで動きが悪くなってしまうので治りが悪くなることも…
リハビリが痛くて辛い場合は、リハビリ前に看護師に言って事前に鎮痛剤を使っておくのもgood。
リハビリが必要のない場所の手術や病気の場合は、一度も会うこともなく退院するだろう。

おわりに

病棟ってどんなところなのか、ほんの少しはぼんやりと想像できるようになったかな?
初めての入院生活は、親子ともども不安なもの。
次回は、病棟の一日の過ごし方・タイムスケジュールなどを紹介するね。

☆子どもの入院についてシリーズ☆
第1回:子どもが入院!!病棟ってどんなところ?その1 〜安全に入院生活をおくるために知っておきたいこと〜
第2回:子どもが入院!!病棟ってどんなところ?その2 〜子どもが入院したときに必要なもの〜
第4回:子どもが入院!!病棟ってどんなところ?その4 〜病棟での1日の過ごし方〜